DANA個展　ー月齢2.1ー

「この世で一番恐ろしいものは何ですか」と問われ、「人間です」と答える人は多い。

私はこの個展で、ほんとうにおそろしいものを描こうと思った。

人は変わるけれど、ほんとうにおそろしいものは目に見えないほど巨大で圧倒的に優しく、遠い過去から未来永劫そこに在るもの。

新月から満月まで日々刻々と変わり続ける月相は人の手では絶対に変えることができない。

古代の人がカミと呼んで畏れ敬った名前のない原初のもの。

自然の中にあるもの。

私たちの中にあるもの。

人間が驕り高ぶり畏怖の心を亡くし、見ないふりをしてきたそれが、もうすぐ動き出すのではないかという気配を最近感じています。

人間のあるべき原初の心に立ち返りたいと思い、私自身の生まれた日の月の様子である月齢2.1を本展のタイトルとし、制作しております。ご高覧いただければ幸いです。

テキスト：DANA